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賢人の雑学:朝、昼、夜。どれが本当の顔?

[賢人の雑学]

福井栄一の上方志向

朝、昼、夜。どれが本当の顔?
福井栄一の上方志向
 

朝顔の日本への伝来は、奈良時代末期。遣唐使が、その種子を薬として持ち帰ったのだと言われています。種子の粉末からつくられる生薬「牽牛子」には、利尿や下剤の作用があるのです。なお、この「牽牛子」という生薬名や「牽牛花」という朝顔の異名は、既にその時代から有りました。従って、「江戸時代の朝顔の行商人が、朝顔の鉢植えを満載した荷車を牛に牽かせていたから」という語源説は、単なる付会に過ぎません。

ところで、朝顔は、萩・葛・尾花・撫子・女郎花・藤袴と並んで、万葉集では「秋の七草」に数えられています。「夏の風物詩である朝顔が、どうして?」と思われるでしょうが、万葉集が編まれた頃の日本では、現在でいう桔梗が、「朝顔」と呼ばれていたようです。

さて、「朝があるなら、昼も…」という訳で、「昼顔」という植物も存在します。名前こそよく似ていますが、朝顔はモクレン門モクレン綱ナス目ヒルガオ科の「サツマイモ属」であるのに対して昼顔は「ヒルガオ属」、朝顔には無数の園芸品種があり「変化朝顔」と呼ばれて珍重されるのに対して、昼顔は雑草扱いで見向きもされない等、両者には相当の相違があります。昼顔は地下茎で増えるため、いったん繁茂すると駆除が難しく、園芸家には忌み嫌われています。気の毒なことです。

更に、世の中には、ご丁寧に、夜顔という花もあります。朝顔と同じく「サツマイモ属」で、その名の通り、夕方から咲き始めて、翌朝には萎んでしまいます。

朝、昼、夜。どれが本当の顔?ちなみに、しばしば夜顔と混同される植物に夕顔がありますが、これはモクレン門モクレン綱といえどもスミレ目ウリ科「ユウガオ属」であって、朝顔・昼顔・夜顔とは、全くの別系統です。

朝、昼、夕、夜と、私たちに異なった「顔」を見せてくれる花の世界。少しせわしない気もしますね。

福井栄一氏が『怖くて楽しい「もののけ」ばなし』と題する講演を、7月22日(日)11時より、大阪・中之島の朝日カルチャーセンターにて行います。申し込み・問い合わせは、朝日カルチャーセンター・大阪(06-6222-5222)まで。

筆者プロフィール

福井栄一さん

[上方文化評論家] 福井栄一さん

大阪府吹田市出身。
上方舞を中心とする上方の芸能、歴史文化に関する評論を発表するとともに、各地で精力的に講演活動を行う。著書に、
『上方学』(PHP文庫)、『にんげん百物語』(技報堂出版)、
『大阪人の「うまいこと言う」技術』(PHP新書)、
『ぼく いちびり』(プラネットバルン)、など執筆多数。
http://www7a.biglobe.ne.jp/~getsuei99/

 

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