賢人の雑学:ネコはどうしてネズミを追いまわすのか
[賢人の雑学]
福井栄一の上方志向 (2007.12.28)


平成20(2008)年の干支はネズミ。ネコはその姿を見るや執拗に追いかけまわします。なぜでしょうか。これには、おもしろい伝承があります。
むかし、神サマが動物界におふれを出しました。
「元旦の朝、出来るだけ早く、ワシの屋敷へ新年の挨拶に来るがよい。先着十二匹の動物については、毎年一匹ずつ一年交代で、動物界の王サマにしてやるぞ。」 これを聞いたウシは考えました。自分はからだが大きくて足が遅いから、元旦の朝に少々早起きしても、他の俊足の動物たちにかなうはずがない。そこで、ウシは、大晦日の晩のうちに出発しました。これなら夜明けと同時に、神サマの屋敷にたどり着くことが出来ます。
途中、ネズミに出会いました。事情を聞いたネズミは内心あせりましたが、知らん顔をしてウシと別れました。いえ、実は別れたふりをして、ウシの背中にちょこんと乗っかったのです。そうとは気づかないウシは、計画通り、夜明けとともに神サマの屋敷へ。やがて門が開いたので、ウシが喜び勇んで入ろうとしますと、背中のネズミが飛び降りて、ウシを抜き去って一番に駆け込みました。ウシはくやしがりましたが、後の祭り。そのうちに、他の動物たちも続々とやって来て、「子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥」という十二匹の顔ぶれが決まりました。これが十二支の起源です。
ところで、これより数日前、のんき者のネコに「神サマの屋敷へ挨拶に行くのはいつだっけ?」と訊ねられたネズミは、「一月二日だよ」と嘘をつきました。これを真に受けて一月二日に神サマの屋敷へ行ったネコは、まんまとネズミにだまされて十二支に入りそこねたと分かって、怒り心頭。
それからというもの、ネコはネズミの姿を見かけると、「あの時は、よくもだましたな」とばかりに、追いかけるのです。それまでお人好しだったネコは、この一件に懲りて、その後は、時に狡猾と評されるほどの知恵者に変貌したという次第。
筆者プロフィール

[上方文化評論家] 福井栄一さん
上方舞を中心とする上方の芸能、歴史文化に関する評論を発表するとともに、各地で精力的に講演活動を行う。著書に、
『上方学』(PHP文庫)、『にんげん百物語』(技報堂出版)、
『大阪人の「うまいこと言う」技術』(PHP新書)、
『ぼく いちびり』(プラネットバルン)、など執筆多数。
http://www7a.biglobe.ne.jp/~getsuei99/
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