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賢人の雑学:「百舌鳥」と正しく書きませんか?

[賢人の雑学]

福井栄一の上方志向

「百舌鳥」と正しく書きませんか?
福井栄一の上方志向
 

太閤秀吉の「千成びょうたん」を図案化した大阪府章は広報紙などでおなじみですが、府のシンボルとなる鳥が何であるか、ご存じですか。答えは「百舌鳥(モズ)」です。昭和40(1965)年6月24日、府民投票の結果に基づいて決定されました。

百舌鳥は、スズメよりもやや大きなモズ科の鳥で、背は灰色、頭と腹は赤褐色。120円切手の意匠にも使われています。「百舌」という変わった用字は、他の色々な鳥の鳴き真似がうまいことに由来するそうです。ちなみに、昆虫やカエルなど、捕えた獲物を木の枝先に刺しておく「百舌鳥の早贄(はやにえ)」は有名です。

ところで、百舌鳥にゆかりの深い自治体としては、大阪府堺市も忘れてはなりません。市の中央部には、仁徳陵古墳( =百舌鳥耳原中陵(もずみみはらのなかのみささぎ))、履中(りちゅう)陵古墳(=百舌鳥耳原南陵)、反正(はんぜい)陵古墳(=百舌鳥耳原北陵)などがひしめきます。仁徳陵造営の際、倒れた鹿の耳から百舌鳥が飛び去ったため、このあたりを「百舌鳥耳原」という呼ぶようになった由。平成元(1989)年4月には、市制100周年を記念して、百舌鳥は市の鳥にも選ばれました。

ただ、ひとつ気がかりなのは、駅名表記における「百舌鳥」の扱われ方。周辺には、JR阪和線「百舌鳥駅」、南海電気鉄道・泉北高速鉄道・大阪市営地下鉄の「中百舌鳥駅」、泉北高速鉄道の「百舌鳥八幡駅」などがあるのですが、「百舌鳥」を「モズ」と読めない利用客が多いからか、漢字を書くのが煩雑だからか、ともかく「百舌鳥」の用字を嫌い、「もず」と平仮名で書くケースが増えているのです。駅の案内板や路線図を見 ますと、「なかもず」などはまだかわいい方で、「中もず」「もず八幡」といった珍妙な混ぜ書きまで登場しています。「四天王寺前夕陽ケ丘」のごとき漢字の羅列、「フェリーターミナル」のごとき、ミもフタもないカタカナの羅列には嘆息するほかありませんが、「中百舌鳥」を「なかもず」「中もず」で済ませてしまうご都合主義も、許しがたいところです。

筆者プロフィール

福井栄一さん

[上方文化評論家] 福井栄一さん

大阪府吹田市出身。
上方舞を中心とする上方の芸能、歴史文化に関する評論を発表するとともに、各地で精力的に講演活動を行う。著書に、
『上方学』(PHP文庫)、『にんげん百物語』(技報堂出版)、
『大阪人の「うまいこと言う」技術』(PHP新書)、
『ぼく いちびり』(プラネットバルン)、など執筆多数。
http://www7a.biglobe.ne.jp/~getsuei99/

 

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