賢人の雑学:馬鹿大人増殖中
[賢人の雑学]
佐藤弘樹の英語回帰 (2007.07.31)

先日ある映画を見た。仕事柄映画を見る機会は多いが、映画館で一般公開作品を見るのは久しぶり。中年を対象にした邦画だったせいもあって場内はほぼ同世代で満員、夫婦連れも多かった。
映画が始まりしばらくして異変に気付いた。場内になんとなく落ち着きがない。特に異常な事態が起きたわけでもないのにざわついている。開始直後の、みんながストーリーを把握しようと息を潜める”あの“静寂がない。そのうち、そのうるささの一つは「話し声」だとわかった。「この俳優、名前は…なんだっけなぁ」「あぁ、なんだっけねぇ、ここまで出掛かっているのに…」「あっ! 思い出した、ほら車のCMに出ている…」といった具合。まるで二人でお茶の間でテレビを見ているよう。”二人のために世界はあるの“って年でもないだろうに。
もう一つのうるささは「カサカサオバサン(またはオジサン)」。肌のことではない。真っ暗闇の中で、スーパーの袋を触る音。これが場内のあちこちから聞こえる。
映画も半ばを過ぎると、前の座席に靴を履いたまま足を投げ出すおっさん。身を乗り出して首筋に生暖かい息を吹きかけるおばはん。残ったジュースを勢いよく音を立てて吸うオヤジ。おせんべいを派手に割って食うオバン。もう何でもありの名画カオス座。ここまでくると、いびき・歯軋りは可愛いもんだと思えてくる。
我が国はいつからこんな風になってしまったのでしょう。行儀が悪い若者というのはよく聞くけれど、常識をわきまえた思慮深い大人は絶滅したのだろうか?
巷間、『20歳の阿呆は50の馬鹿』というそうだが、こういう人たちは20歳の時は行儀よく、中年を過ぎて急にお行儀が悪くなったのだろうか。若さゆえのマナー知らずの阿呆なら可愛げもあるが、馬鹿は始末に終えない。こういう人たちが若者にマナーの悪さを注意されて、どうなるかは容易に想像できる。
結局、映画のストーリーはわからずじまい。帰り際、前をうろうろするおやじの一言。
「しょうもない映画だった」
自分もりっぱな中年の部類だが、知らず知らずのうちにこんな中年の振る舞いをしていないか、気になって、それ以来映画館には足を運んでいない。
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