賢人の雑学:カリフォルニアワインの日本人功労者
[賢人の雑学]
森本剛史の深旅遠望 (2007.12.28)


カリフォルニア州はいわずと知れたアメリカ・ワイン発祥の地で、その生産量はアメリカ全体の90%も占める。サンフランシスコ郊外には有名なナパ・バレーがあり、今回「ロバート・モンダビ」「ドメイン・シャンドーン」「オーパス・ワン」など5つのワイナリーを取材した。日本人に人気のあるワイナリーは「オーパス・ワン」らしい。このワイナリーは、まるで豪邸を思わす白亜のモダンな建物。一方、ロバート・モンダビは美術館のようで、ブドウ畑には彫刻が置かれているという凝りようだった。
ガイドの話によると、カリフォルニアワイン興隆の裏に、一人の日本人がいたという。「その人は長沢鼎(かなえ)といい、鹿児島県出身で、黒船来航の1年前(1852年)の生まれです。13歳の時、慶応元年の留学生の一人としてイギリスに渡った。私立中学を卒業した頃、トマス・レイク・ハリスという宗教家の詩人と出会い、影響を受けるんです。ハリスはアメリカで『新生社』という教団を運営している厳格な清教徒でした」とガイド氏。
長沢はハリスを頼ってアメリカに渡り、ニューヨーク州にある教団のブドウ園や牧場で奉仕生活を送った。その後、教団は本拠地をナパ・バレーの北西にあるサンタ・ローザに移す。ハリスは「ファンテン・グローブ」という名のブドウ園を作った。ハリスはすべての土地と醸造所を弟子の長沢に譲る。
長沢はワインの研究を重ねカリフォルニアのワイン業界を引っ張っていく。「ファンテン・グローブ」は州最大のワイナリーとなり、彼はカリフォルニアを名実共にワイン・ランドに育て上げ「ブドウ王」と呼ばれた。
「彼が亡くなった時に、地元紙は『カリフォルニアのブドウ王、死す』と大いに讃えたと言います」とガイド氏の熱弁は続いた。
カリフォルニアがワイン王国になった裏には薩摩隼人のこんな活躍があったのだ。故郷のJR鹿児島中央駅には、彼の銅像が建っているそうだ。今度見に行かなくちゃ。
筆者プロフィール

[トラベルライター] 森本剛史さん
立教大学時代(1970年)、初めての海外旅行を体験し、以来訪れた国は95カ国におよぶ。年間100日は海外。執筆した旅行ガイドブックは『エリアガイド バリ島』(昭文社)をはじめ19冊。旅行記を載せたサイト「旅好堂」が好評。
http://homepage3.nifty.com/ryokodo/
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