大人組

賢人の雑学:コロラド・ロッキー山中を走る哀愁の蒸気機関

[賢人の雑学]

森本剛史の深旅遠望

コロラド・ロッキー山中を走る哀愁の蒸気機関
森本剛史の深旅遠望
 

自分では気がつかなかったのだけど、最近僕はかなりの乗物好きなのだ、とわかった。今までに2人乗りの小型飛行機や潜水艦、カヌー、ラフティング、たらい舟、ダウ船(アラブの帆船)、人力車、ラクダにゾウにウマ、そうそう2ヵ月前にはアリゾナで熱気球にも乗ったなぁ。

アメリカのコロラド州に行ったとき、蒸気機関車の「デュランゴ&シルバートン狭軌鉄道」に乗った。デュランゴはかつてビリー・ザ・キッドも訪れたという西部劇の雰囲気が漂う町。この町とシルバートンを結ぶ72キロを、アニマス川に沿って3時間30分かけて走る。鉄ちゃんが口を揃えて「ぜひ乗ってみたい!」という、ロッキー山脈を走る本物のSLだ。

流れ行く車窓の景色が素晴らしい。ロッキーの山並みを見上げ、断崖絶壁の上を通過し、これぞアメリカの大自然と感激。汽笛を鳴らし白煙を上げて進む蒸気機関車。時々顔に当たる煤すすや、床から漂ってくるワックスの匂いが懐かしくもあり、楽しい。最速でもわずか30キロなもんで、ゆったりとした旅情に浸ることができる。

かつてコロラド・ロッキーの主要な交通機関だったリオ・グランデ鉄道が、自動車の増加とともに消滅。今も残っているのがコロラド州南部のこの鉄道だけとなった。現在走っているSLは、BOLDIN-K36クラス(1925年製)とALCO-K28クラス(1928年製)の2種類である。

この鉄道は、今までに18本の映画に登場している。有名なところでは「80日間世界一周」や「明日に向かって撃て!」など。これらの鉄道シーンを思い出す方もいるに違いない。大きな切符には「A TRIP TO YESTERDAY」と書かれていた。おしゃれだねえ。

筆者プロフィール

森本剛史さん

[トラベルライター] 森本剛史さん

和歌山県新宮市出身。
立教大学時代(1970年)、初めての海外旅行を体験し、以来訪れた国は95カ国におよぶ。年間100日は海外。執筆した旅行ガイドブックは『エリアガイド バリ島』(昭文社)をはじめ19冊。旅行記を載せたサイト「旅好堂」が好評。
http://homepage3.nifty.com/ryokodo/

 

バックナンバー