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賢人の雑学:東京の景色

[賢人の雑学]

中村義明の一棟梁談

東京の景色
中村義明の一棟梁談
 

京都人が東京の街に足を踏み入れると、毎回驚かされる。近年、駅前の丸の内に高層ビルが出現し、六本木ヒルズや青山に表参道ビル、この3月には防衛庁跡地にミッドタウンが、5月には丸の内にもう一棟の新丸ビルがオープンした。銀座の街も動いている。

これらを仕掛けた人達と話していると、商業空間が同一化し、外面のファサードは良いとしても店舗内が面白くない。各店舗はガラス張りのペンキ塗り。空間に和らぎも緊張感も少ない。日本らしさもなく、どこもかしこも同じ。商品だけは違うが、人波で空間がごまかされているのだ。人間の存在する場所なのか。今立っている場所すら解らない場所に映る。ふと一人のプロデューサーは、「最近、上手いインテリアデザイナーがいないなぁ」と言った。この言葉に私も同調し、同時に数日前のある言葉を思い起こした。それは東京和風迎賓館の話で、東京の景色安藤忠雄先生は私に「和風建築はインテリアだなぁ」と。このニつの話は、大変私にとって重要なことを想起させた。我々が創る和風とインテリアは、機能が大変重要である。上手いインテリアデザイナーは、例えば厨房や納戸を上手く納めたり、人間工学や施主に合わせてデザインする。機能六分にデザイン四分と。日本建築においても機能が大変重要で、その機能をリズミカルに繋いでゆく。

現実、現代の建築家はインテリアデザイナーを軽視する。多くの大学の建築家は、ファサードを大事にし、建築デザインは形から創り出す。ヨーロッパの建築は、垂直に伸びる骨組みであり、垂直思考で創り出す。一方、日本の建築は絵巻物風の構成になるのである。

日本の若い建築家、デザイナーの諸君。これからはもっと日本人の心を持ったデザインを世界の人々に広めてほしい。モンスーン型の文明、稲作農業、森の文明から育った多神教の国、日本。我々の価値はそこにあると思う。

筆者プロフィール

中村義明さん

[中村外二工務店代表] 中村義明さん

1946年、京都生まれ。
数奇屋建築の名匠、故中村外二の次男。菊乃井本店、俵屋、MIHO美術館造園など、全国の伝統建築・改修工事に多数従事。

 

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