賢人の雑学:さすがサミットホテル
[賢人の雑学]
井村日登美の日々宿日 (2008.04.30)


世の中不思議なことがいっぱいあるが、ホテル業界での不思議のひとつは、今夏洞爺湖サミットで会場となるホテルのことだ。だって、とてつもなく遠く、とてつもなく不便な場所にあるのだ。
洞爺湖温泉街から、バスガイドが山の上を指さし「皆さま、あれが今夏サミット会場になるホテルです」と説明。当日は吹雪、雪が吹き荒れるなか、よく見ると山の上に一軒家がある。「ええっ? あんなに遠いの」。そりゃ洞爺湖を一望できるというのが売り物のひとつだから、高いところにあるとは思っていたが、山の上とはびっくり。そしてそこからホテルを目指し、真っ白な山道を登っていくのだが、登れども登れどもホテルは近くならず。温泉街からどれほど過ぎただろうか。
「ホテルに着きました」と、バスガイド。雪のなかに要塞のような建物があった。エントランスは小さく、ロビーに入ると壮大な空間。二層吹き抜けのアトリウムロビーからは洞爺湖の大パノラマが広がる。見とれていたら、後ろからポロロンとピアノとフルートの演奏が始まる。ウエルカムミュージックとウエルカムコーヒーでお出迎えである。さすが、サミット開催ホテル。ニクイことするねえ。
客室からも洞爺湖が一望できるロケーション。こりゃ世界の賓客は喜ぶであろう。部屋は狭くなく広くなく、バスルームはゴージャスであり、ゴージャスでなし。さすがにリゾートだけに携帯メールは即座に通じるも、パソコンメールは即座には通じない。ここまで来て仕事はダメよ、である。テレビは厚めのビンテージもの。温泉浴場もあり、部屋からバスローブ姿で行ける快適さ。浴衣にスリッパはダメだが、バスローブはいいのだ。
いろいろホテルの館内を見てまわるうちにわかった。なぜ、同ホテルがサミット会場に選ばれたのか。安全性である。以前、国賓を迎えるホテルの条件は?と尋ねたら、「警備がしやすいこと」だといわれた。考えてみれば、このホテルは抜群に警備がしやすい。まず遠い、山の上、一軒家、そして極めつけはオーナーが大きな警備会社だったのである。
筆者プロフィール

[ホスピタリティ研究所「エイチ・ワン」代表] 井村日登美さん
バックナンバー
- [賢人の雑学] 井村日登美の日々宿日 『さすがサミットホテル』 (2008.04.30)
- [賢人の雑学] 井村日登美の日々宿日 『鉄人628号の宿』 (2008.02.29)
- [賢人の雑学] 井村日登美の日々宿日 『サギの湯』 (2008.02.29)
- [賢人の雑学] 井村日登美の日々宿日 『ミシュランガイド東京2008』 (2008.01.31)
- [賢人の雑学] 井村日登美の日々宿日 『回転レストラン』 (2007.12.28)



