賢人の雑学:1万5000円のバーベキュー
[賢人の雑学]
井村日登美の日々宿日 (2008.07.11)


いよいよビアのシーズンだ。ビアガーデン、ビアホール、ビアレストランと、“ビア”のつく広告が目立つ。ホテルにおいてはビアガーデンのオープンラッシュである。学生の就職活動のように、年々早くなっている気がする。
この1、2週間、立て続けにホテルのビアガーデンのオープンに参加。まだ少し肌寒い中、よせばいいのに大ジョッキをオーダー。飲んでも飲んでも減らないビア。いつものことながら後悔することしきり。しかし今日のホテルのビアはメイン料理がバーベキュー。しかもコースで6000円はする高級クラスなのだ。ところが、あいにく当日は風が強く、今にも雨が降りそう。雨が落ちる前にすべてのメインを食べきろうと思うのだが、これがなかなか焼けてくれない。焼けたらすぐに4人で取り合いになる。そのうち雨がひどくなり、ホテルの担当者が配ってくれたバスタオルを頭からかぶり、ひたすら肉の焼けるのを待つ。極上ヒレ肉をこそこそと食べるなんて、なんともったいない。本当は自慢しながら食べたい。
と、思っていたら、まだ上があった。最高クラスは1万5000円。アワビや伊勢エビなど高級食材が用意される。そういえば記者会見の時、ホテルの担当者がひどく心配していた。「売れるだろうか」……。
料理のコストの基本は、食材と調理人の人件費。バーベキューの場合、後者はお客になる。確かに野菜やソーセージ、安ものの肉など、単に炭の上におけばバーベキューになるのだから、調理は簡単である。しかし高級食材をそんな簡単なおもてなしでよろしいのか。もっと丁重に扱わなくてはいけないのではないか。
もし、伊勢エビのヒゲが折れたら、アワビがうまく焼けなかったら、グラム何千円もするお肉を焦がしたら……。いろんなことが頭をかけめぐる。子どもなんぞに触らすことはご法度だ。そんなことを想像していると、「これは売れにくい」と直感した。しかし口から出た言葉は「売れますよ、素材が良いから」。自分が嫌になった…。
筆者プロフィール

[ホスピタリティ研究所「エイチ・ワン」代表] 井村日登美さん
バックナンバー
- [賢人の雑学] 井村日登美の日々宿日 『1万5000円のバーベキュー』 (2008.07.11)
- [賢人の雑学] 井村日登美の日々宿日 『「ホテルブランド」』 (2008.07.11)
- [賢人の雑学] 井村日登美の日々宿日 『旅館のカレーライス』 (2008.05.29)
- [賢人の雑学] 井村日登美の日々宿日 『さすがサミットホテル』 (2008.04.30)
- [賢人の雑学] 井村日登美の日々宿日 『鉄人628号の宿』 (2008.02.29)



