賢人の雑学:1泊で10泊、10泊で1泊のホテル
[賢人の雑学]
井村日登美の日々宿日 (2010.05.11)


いよいよ今秋、大阪・本町に世界最高クラスのホテルがオープンする。なんでも宿泊を主体にしたホテルで、バトラーサービスが売り。バトラーとは執事の意味で、歴史的には英国貴族の主人への給仕、食器類・酒類の管理をはじめ、家事、接客など、邸宅内のすべてに関わることを取り仕切る役職である。それがいつしかホテルのサービスの1つとなり、最高級ホテルのサービスを意味するようになったというわけ。
ホテルは客室2フロアに1つのバトラーパントリーをもち、英国で伝統的なバトラー教育を受けた人物が常駐する。風呂を沸かしたり、食事を持って来たり、靴を磨いたり、ランドリーに洗濯物を出したりと、客室内での用事はすべてバトラーが担当する。ゲストは悠々と貴族になっていればいい。自分でやってしまうと、バトラーの出番がなくなるから、ご法度である。ちなみに貴族代は1泊で5万5000円から。
一方の彦根市に昨年オープンしたホテルも宿泊が主体。1泊5500円。当たり前だが、バトラーなどいない。フロント以外、人がいない。そのフロントも夜になると誰もいなくなる。客室はベッドとテレビ、ライティングデスクとコンパクトにまとまっている。インターネットに無料で接続でき、パソコンを使ってサクサク仕事ができる。風呂は自分で沸かし、ズボンは廊下にあるズボンプレッサーを自分で持ってきて、自分でプレスする。自分の靴は自分で磨く。そうそう空気清浄機もチェックイン時にフロントで受け取り、自分で運ぶ。もちろん返す時も同じ。
朝食は無料。和洋メニューが揃い、サラダもある。ジュースもある。すべてセルフサービス。コーヒーマシンが夜も稼働していて、紙コップに入れて部屋に持って行っても良し。もちろん無料。フロント横の壁には、心臓などが止まった時に使うADEの装置が設置されている。これもセルフか?
1泊分で10泊できるホテル。10 泊分で1泊しかできないホテル。どちらも「寛ぎ」と「快適性」をモットーとしている。それぞれに顧客の評価を得ると思う。ただ、悔しいのは眠ってしまえば、どんなホテルであろうが同じ。それどころか、自宅のベッドには敵わない。ホテルの強敵は自宅にありか。
筆者プロフィール

[ホスピタリティ研究所「エイチ・ワン」代表] 井村日登美さん
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