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賢人の雑学:二つの中国

[賢人の雑学]

中 博の複眼涼視

二つの中国
中 博の複眼涼視
 

ダンボール入り肉まん報道の最中、中国のIT企業訪問のため北京空港に降りた。確かにオリンピック開催が危ぶまれるほどの猛烈なスモッグで高速道路の先が見えない。やれやれという思いに駆られる。しかし重い気持ちはそこまでで、破壊されつつある胡同の傍に立つIT企業のビルに入った瞬間、別世界に案内された。高い天井、インテリアも垢抜け、目に心地よきカラーコーディネート、オフィスも広々とし塵ひとつ落ちていない。日本の雑然とした事務所からみると別世界だ。だが本当の驚きはこれから。案内に立った若い取締役の話す日本語は完璧な標準語、聞けば早稲田大学工学部卒業という。中国、日本、米国各国人で構成される取締役会が始まった。先ほどの青年が北京語、東京弁、ニューヨーク語を見事に駆使し議事進行していく。資料も的確なチャートがPCから投影される。日本の実際の役員会では見られない、そう、CMの風景が北京の一隅で実像として展開されているのだ。

日本ではニセ食品騒ぎで中国はひどい国というイメージが一般化しているが、こちらへ来てみると、それは大中国の一部であることが痛感される。今の中国人13億人のうち1億人は、日本人をはるかに凌ぐ勢いで賢明にして懸命に働いている。この1億人の実質平均年収は1億円という説もあるくらいだ。つまり日本と同じ人口の人が日本人より働き、日本人より豊かだというのが現実の中国である。日本のマスコミはこの1億人を見ないで、残りの12億人の中国を報道している。それも真実だが正確さに欠けるし、時に誤った判断を惹起する。

滞在中いまや北京に居住する経営の神様、丘永漢先生にご招待され、見事な中国料理を楽しんだ。とくにびっくりしたのは、新鮮な食材である。野菜、魚、肉、どれも絶品である。丘先生曰く、「中国にも確かな食材は当然あります。日本人はわかってないんです。一部の映像や文章を信じて、今の中国がどういう方向に行くのか全く理解してないのです」と嘆息された。金持ちの中国、混沌の中国、どちらが実像か。

 

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