賢人の雑学:男も化粧すなり
[賢人の雑学]
中 博の複眼涼視 (2008.02.29)


年が明けると毎年、今年こそは平和ないい年でありますようにと願うが、年末になると碌(ろく)な年でなかったなあと嘆息することがここ数年続いている。特に昨年は年金漏れのことや偽装の続出で、この国にはどうやらぴーんと背骨の筋が通った人物がいなくなったという感がする。とりわけ安倍総理のぷっつん辞任がそれを象徴している。そこには重い荷物を担ぎ、寡黙に坂を上る「男」の姿が全く見えない…と嘆いていたときである。ある資料を眺めびっくりした。なんとメンズエステ業界というのがすごい勢いで伸びているらしいのだ。
2004年くらいから業界が立ち上がり、2009年には業界規模440億円、1・54倍の規模に拡大するらしい。いまや男性の14%がエステに通っているという。これより早くテイクオフした男性化粧品は、1200億円の市場規模になっている。メンズファッション館で大成功した伊勢丹新宿店では2003年に高級ブランドを揃えたメンズエステコーナーを設置したところ、なんと3年連続で120%増の売り上げを記録しているという。専門家の分析によると、ここ数年で男にとって化粧品もエステも常識の時代が来るらしい。
「この美容液を使って1週間ぐらいから顔のたるみが取れ始めてきました」「塗るとパウダーっぽくなるので、脂っぽい肌もさらさらにみせてくれます」「キューティクルオイルは匂いもよく、癒されました」。この言葉は女性ユーザーからのものではない。すべて男性からのコメントだ。すでにメンズコスメ専用の通販サイト(M-cosme)があり、そこに寄せられた男性ユーザーのコメントなのである。
男がキレイになることには反対しない。しかし、と私は疑問符を投げかけたい。男がキレイになることに血道をあげるごとに、一方で失うものもあるのではないか。背骨のない男性社会、その結果の偽装社会という現実と表裏一体ではないかと思ってしまう。
都会に住み、ファッションやスキンケアに熱心で、洗練された生活を送る男性を示す言葉「メトロセクシャル」が登場したのが2003年。「男は黙って…」の昭和は、ますます遠ざかっていくのか。
※参考/DELTA i.D.総合研究所 ニューデータベースISGR
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