賢人の雑学:パナソニックはナショナルを超えるか
[賢人の雑学]
中 博の複眼涼視 (2008.03.29)


ついにというべきか、松下電器産業が「パナソニック株式会社」に社名を変更する。同時にブランドも「Panasonic」に統一。“明るいナショナル”というサウンドも、今年9月30日を最後に我々の耳に届くことはない。このニュースに接し、強い感慨を受けた。筆者は昭和44年から51年まで門真にある松下電器本社企画室に在籍、生意気な新入社員時代を送っていた。
その折、ステレオ事業の拡大策に取り組み、サンパイトリオ(当時マニア筋評判のサンスイ、パイオニア、トリオの3社)追撃戦略を模索していた。3社のブランドイメージは、家電の鍋釜イメージのナショナルよりはるかに強いものがあった。筆者はユーザーの変化に対応したブランド一新の必要性を強く感じた。そこで北米中心に使用されていたブランド「パナソニック」の清新性に眼をつけ、「パナソニック」にブランドを変更すべしという恐れ多い案を献策したのだが、上司の圧力であえなく憤死した。今でも松下幸之助さんに直接申し上げていれば、かなりご理解を得られたと密やかに思っている。
世界中で一番のブランド価値を有している企業は、昔も今も赤いマークの「コカコーラ」である。米国の大手保険会社のアナリストから聞いた話だが、「仮に世界中のコカコーラ社の工場が災害に遭いすべての資産がなくなったとしても、金融機関は無条件で事業資金を提供するだろう。その最大の要因は、コカコーラという偉大なるブランド価値にある」。
世界ブランドの1位はコカコーラ、2位マイクロソフト、3位IBMで、日本勢はトヨタがやっと6位、ソニーが25位、パナソニックは残念ながら78位である。近年日本企業の劣勢がますます顕著になり、驚異的な勢いを見せ始めたのが韓国勢である。
サムスンが21位、現代が72位、LGが97位と躍進を続けている。これら韓国企業のホームページを覗くと、ブランド躍進について大きく喧伝しているのがわかる。我々日本人はトヨタやソニーの活躍をマスコミが大きく取り上げるせいで世界でトップクラスと思い込みがちだが、そうではない。韓国はじめ新しい企業が次々と強いブランドを打ち出している。そのうち上位に見慣れない「中国企業ブランド」が並ぶ日も遠くないだろう。パナソニックという統一ブランドの出現を契機に、日本企業の躍進を見せてほしいものである。
バックナンバー
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