賢人の雑学:黄昏の成田
[賢人の雑学]
中 博の複眼涼視 (2008.05.29)


国の勢いを測るには、その国の玄関を見ればわかる。玄関とは国際空港のことだ。北京オリンピックのため第三ターミナルまで広げた北京首都国際空港。アジア、アフリカへのハブ、快適なホテル完備のシンガポール・チャンギ空港などがいい事例だ。
いま世界が注目するいち押しの空港は、ドバイ国際空港である。ドバイはアラブ首長国連邦の中の一国で、現在世界一の建設ブームの真っ只中、「アラジンの魔法のランプ」そのものの国である。800メートルを超える世界一の高層ビルが完成間近であり、世界のホテルで最も高い321メートルを誇り1泊100万円の部屋が大人気という「バージュ・アル・アラブ」、またベッカムが購入したことで有名な世界一大きな人工島 「ザ・パーム」も建設中だ。
その他世界的建造物が続々計画中の国の玄関が、ドバイ国際空港である。24時間営業の超巨大免税店があり、フェラーリはじめ高級車が販売され、ポルシェが1000分の1の確率で当たるくじがあるという「アラジンの世界」がそこにある。降り立てば、そこは欧州ーアフリカー中東ーアジアを結ぶ拠点である。しかし、この空港と成田とは結ばれていない。ハブとしては極めて狭く、24時間仕様ではないという世界の空港の非常識を、日本の成田は恥ずかしげもなく演じているからだ。
ドバイの力の源泉は、言わずと知れたオイルマネーである。昨年来石油価格は1バーレル100ドルが高レベル定着しており、中東の石油資産高はなんと1京3000兆円、日本の国家予算の1600年分という推計すらでている。今日世界で運用されるアラブのオイルマネーは250兆円に上り、その拠点のひとつがドバイなのである。
これからの世界を見る上で、アラブマネーが今後どの国のマネーと競合・協同しようとしているかは、重要だ。ずばり、中国である。サウジアラビアの現国王が最初に訪問した国が中国であり、胡錦濤主席との会談が北京、リヤドと2度にわたって行われている。アラブ人と中国人のしたたかさを、世界は知っている。200兆円の外貨準備を持つ中国と250兆円を駆使するアラブの結びつきは、隣国日本にいかなる影響を与えるの か。ガソリン税の暫定税率で機能が停止したこの国は、まさにあの寂しげでシャビーな成田空港が見事に象徴している。
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