賢人の雑学:ニューヨークは元気
[賢人の雑学]
中 博の複眼涼視 (2008.05.30)


ニューヨークJFK空港に久方ぶりに降り立った。切り絵アートの第一人者・久保修さんの展覧会開催をサポートするためだ。日本では椎名誠さん、田崎信也さん、東ちづるさんなど多くの著名人が熱烈支持しているだけに、NYでもジャーナリスト、日本通を中心にレセプションパーティーはとても賑やかであった。
会場では日本経済、日本美術界の元気のなさに多くの質問が出たが、日本のいまの沈没状態を説明するのも面倒なので、当方はサブプライムローン問題や、大統領選のオバマ、ヒラリー・クリントンの話に切り返し、当座をしのいだ。このとき意外に思ったのが、ニューヨークの人々の雰囲気が元気であるということだった。サブプライム問題のため全米の景気大後退は必至で、9・11ショックからやっと抜け出してほっとしたアメリカ人がまた大変だなあと思っていたのだが、まさかの肩透かしであった。
確かに街に出てみるとその元気さが実感できる。五番街は平日にもかかわらず人であふれている。メトロポリタン美術館や自然博物館もドル安効果でヨーロッパからの観光客も多いが、アメリカ人の家族連れも行列をつくっている。日本でも有名な中国人アーティスト蔡國強を特別展示しているグッゲンハイム美術館では、アメリカ人の長蛇の列に驚いた。
下町はどうかと覗くと、SOHOではまるで浅草のように人、人、人。どのショップも若い人であふれ、カジュアルな店のレジではこれまた行列だ。洒落たカフェもたいてい満員で席を確保するのも大変な有様だった。
夜をリサーチすると、もっとびっくりする。高級レストランはかなり前から予約で一杯で、前当日の予約など絶対無理。一方で気軽なステーキハウスに出かけると満席で大賑わい、150席の店が2回転しているという。ホテルも去年より30%値上がっているのに、いい宿は予約困難な状態だという。ブロードウェイはいつもの通り大人気で、チケットがとれない。
日本での報道を見ていると、サブプライム問題一辺倒で、景気後退以外は報じられていない。そこからはこんなアメリカは想像できない。そこで、私はいまの日本の大きな弱点にハタと気がついた。「情報鎖国・日本」である。誰がこんな国にしたか……? その答えは次号で解き明かそうと思う。
バックナンバー
- [賢人の雑学] 中 博の複眼涼視 『ニューヨークは元気』 (2008.05.30)
- [賢人の雑学] 中 博の複眼涼視 『黄昏の成田』 (2008.05.29)
- [賢人の雑学] 中 博の複眼涼視 『歴史を知らない日本人』 (2008.03.29)
- [賢人の雑学] 中 博の複眼涼視 『パナソニックはナショナルを超えるか』 (2008.03.29)
- [賢人の雑学] 中 博の複眼涼視 『男も化粧すなり』 (2008.02.29)



